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 タツオの班はなんとか時間どおりに集合できた。遅刻をした班がかけ声をかけながら腕立て伏せをするなか、月岡(つきおか)教官の声が響いた。真夜中の校庭の中央はサーチライトで照らされ、一年生260名が整列している。 「君等には、これから深夜行軍の訓練をおこなってもらう。ここにある背嚢(はいのう)を背負って、模擬銃をもち、第3キャンプまでいって、朝8時にここに再集合してもらう」  声にならないため息が漏(も)れた。第3キャンプまでは15キロの道のりがある。背嚢の重さは10キロで、模擬銃は4キロ弱だった。それをもってこれからの6時間で30キロの行程を歩きとおさなければならない。 「準備ができた者から、各班ごとに出発せよ。帰投後は朝食のあと、2時間目から通常授業を始める」 「はい、月岡教官、質問があります」  よく通る鈴の音のような、東園寺彩子(とうえんじさいこ)の声だった。
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