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「授業前に入浴は可能でしょうか?」  月岡鬼斎(きさい)がにやりと笑った。汗と泥にまみれて授業を受けるのは、女子生徒には厳しいことだろう。 「授業開始までは自由時間だ。好きにしろ」  テルが吐(は)き捨てるようにいった。 「これだから、女進駐官なんて信用できない。東園寺家のお嬢さんというだけで、わがままいい放題(ほうだい)だな」  この養成高校の設立費用を逆島(さかしま)家は東園寺家と折半(せっぱん)していた。クニがいう。 「まあ、文句いうなよ。サイコのおかげで、おれたちもシャワーくらい浴(あ)びられるんだからさ」  タツオはジョージのほうを見た。長身のジョージはしなやかだが、たくましい身体をしている。同じ制服を着ていても、あつらえたように様になっていた。一切のおしゃれを禁じられている生徒たちにとって制服の着こなしは死活問題だった。 「ジョージはなに着ても、似あうんだね」  タツオがそういうと、ジョージは肩をすくめた。
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