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「父親の血じゃないかな。うちの父はエウロペ連合の出身だから」  背嚢の山に生徒たちがむらがっていた。一刻も早く出発したいのだろう。 「お父上はまだむこうで健在なのか」  ジョージはちらりとタツオを見た。 「そちらと同じだよ。父はエウロペ連合の軍人だったけれど、ぼくが5歳のときに戦死した。南ウルルクの上陸作戦だった。皇国生まれの母はぼくを連れて、日乃元に帰ってきた。それからはずっとぼくは日乃元人だ」  どこか淋しそうな顔で、ジョージはそういった。幼くして父を亡くす。その気もちはタツオにもよくわかった。真夜中の校庭でうなずきだけ返しておく。  テルが背嚢を背負い、4人分の模擬銃をもって帰ってきた。 「さあ、いこうぜ。さっさと30キロ歩いて、早めに帰ってこよう。朝すこしでも寝ておくと、今日の授業が楽になる」  クニが模擬銃を受けとりながらいった。
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