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「タツオ、ぼくたちもいこう」  背嚢を落として、模擬銃の銃身を棍棒(こんぼう)のようににぎって、タツオは林に突撃した。暗がりのなか、訓練服の少年たちが闘っていた。クニとテルそれぞれにふたりずつの敵が襲いかかっている。 「待て、貴様(きさま)らはどこのクラスだ?」  ジョージが叫んだが、返事はなかった。襲撃者はサバイバルゲームでつかう、黒いプラスチックのフェイスマスクで顔を隠している。  タツオはいきなり背後から殴(なぐ)りつけられた。後頭部でなく右の肩でよかった。振りむくと黒いマスクが2人突進してくる。敵は2班8名だった。こちらの倍の戦力だ。  いきなり襲われたテルは額(ひたい)から血を流していた。それで逆に闘志に火がついたようだ。顔からの出血は派手(はで)に見えるが、傷が浅ければたいしたことはない。テルは襲撃者の腕をねじりあげると、怪力で逆方向に折っていく。ゴリッと骨のはずれる音が鳴り、肘(ひじ)から外側に折れた腕を抱え、襲撃者が転げまわった。
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