ねえ、君殺人鬼でしょ?

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 そこには、一瞬外国人かと思うようなパッチリ目鼻の顔立ちの美人が立っていた(ハーフっぽいような気もする)  年齢は特定しづらい。表情や化粧の仕方などは若そうだがその外観と背の高さもあって大人びても見える。  女性としてはかなり背が高く(僕より頭一つ分はでかい)髪は真紅色のロングストレートで口紅も真紅だ。  かなり体のラインが出るこれまた真紅色のスーツをビシッ!っと着こなしている。  そしてその真っ赤なイメージから唯一剥脱されているのが真っ青な瞳。とても高い所から見る空のような蒼だ。カラーコンタクトだろうか。  見た目だけならば奇抜な色使いを除けばとても綺麗な女性で、多分好みじゃないと言う男性のほうが圧倒的に少ないだろうと思われる。  だが僕にはだるいと言う感情のほうが大きかった。  人に話しかけられるのは激しく気だるいのだ。  えてすれば、コミニュケーション能力あるのか?位の勢いで僕は非友好的に腕をつかんだ主に答えた。  「・・・なんの用でしょうか?」  僕はこういうひねくれた性格で、数少ない友人からも人は「一人では生きていけないぞ」と今時、学校の教師でも言わないような説教をされる。  赤い女性は満面の笑みだった。  どう見ても危ない人に捕まってしまった。一応僕の中の常識では「君、殺人鬼でしょ?」と言って人を呼び止める人は、日本の常識の下で育たなかった紛争地域出身の人か。  あるいは道を尋ねるのに悪戯好きな友人のせいで、間違った日本語を教えられた外国人くらいしか思い浮かばないのだがどうだろうか。  前者なら僕みたいな普通の高校生が殺人鬼な訳無い、ということを常識的に判断できていない事も納得せざるを得ない。  後者なら僕を呼び止めた理由も、道を聞くには大人しそうで丁度良かった、と思って声をかけたのだろうと無理やりだが理解できる。  だが彼女は知性的で、ある種挑戦的な、面白いものを見る子供のような目で僕の目をまっすぐ覗き込んでいた。  「ふ~ん、やっぱりそうだ」  僕の諦観した、まだ他人事であるような、死んだ魚みたいな目を見て彼女は確信したらしい。  「ねえ、君殺人鬼でしょ?」  
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