第14話 ロザリナの首飾り

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 そのあと、それぞれメンバーの自己紹介があった。舞はダンス経験よりもバレエの経験が長く、笑顔のきれいな娘。ひとみは中学校のときに体操の選手で身体能力が高く、高校で始めたダンスはダイナミックな動きに定評がある。美香はスタイル抜群のダンサーで特に足が綺麗。晶子のこの三人についての印象はそんなところだった。  イザベラは実はホルスタイン王国の王女として小さい時から英才教育を受けていたので、ダンスもお手の物だったが、ただ、晶子と朋美はまったくダンスのレッスン経験がなかった。 「わたし、みんなについていけるかな?」  最初に弱音を吐いたのは朋美だった。 「わたしも自信ないけど、頑張ってみよう、朋美」  晶子は自分を励ますように、朋美に言葉をかけた。 「大丈夫だよ。あんたたちはまだ若いんだ。あたしだって、十六歳で芸者の世界に入ったときはズブの素人だったさ。それが一年も経ったら一人前の芸ができるようになったんだから。そういうもんだよ。要は心がけ次第ってことさ」  竹虎は昔の竹若時代を懐かしむような眼をした。 「でもよく考えてみたら、朋美はわたしよりも有利よ。だって、六本木のクラブの常連だったでしょ」 「そうなの?晶子。それなら朋美は大丈夫よ。チアダンスの大事なことはリズム感だから。音楽に合わせて体を動かせたらほとんど基礎はできていると考えていいと思うわ」 「やっぱりそうなのね、和美。それじゃあ、わたしだけがド素人ということになるわ」  晶子は自嘲気味に言って、舌をペロリと出した。みんなはそれを見てドッと笑った。それから、初会合は懇親会に移って竹虎の用意した豪華な料理を前にして座は大いに盛り上がった。  翌日から昼休みと放課後に、チアダンスの基礎練習が始まった。最初、不安だった晶子や朋美もやってみたらだんだん楽しくなってきた。土日はメンバー七人全員が参加して、基本的なチームダンスの型を練習した。ダンススタジオには壁に大きな鏡が埋め込まれていて、晶子たちは自分の動作を見ながらダンスの練習ができた。和美はそれぞれの動きやリズム感をチェックしながら、アドバイスを与えた。
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