木菟

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…かくして、私はツアー客として、ここを訪れたわけだが。 1日のうちに、宿泊客が二人も殺された。 今頃になって、ちょっとおかしいんじゃないか?と思えてくる。 しかも、父の友人だという、洋館のオーナーは不在で、どれが父の作品なのかも分からない。 「ねぇ、鳥澤さん。」 私はバスの中で会った時から、親切にしてくれるその女性に、こっそり尋ねる。 「カトリーヌさんのデス・マスクを撮ってもいいかしら?」 非常識と言われそうだが、芸術には常識なんてものは邪魔くさいだけ。 「はあ…本当に変わってるね、あんた。後であたしも色々調べたいから一緒に行くかい?」 鳥澤さんは理解がある。 突き出た鉄柵に、無惨にもお腹を串刺しにされたカトリーヌさんの死体は、管理人さんが処置してくれ、今は浴室の風間さんの隣で眠っている。 ベランダから身を乗り出して、あやまって下へ落ちてしまったんじゃないかということだった。
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