8人が本棚に入れています
本棚に追加
…かくして、私はツアー客として、ここを訪れたわけだが。
1日のうちに、宿泊客が二人も殺された。
今頃になって、ちょっとおかしいんじゃないか?と思えてくる。
しかも、父の友人だという、洋館のオーナーは不在で、どれが父の作品なのかも分からない。
「ねぇ、鳥澤さん。」
私はバスの中で会った時から、親切にしてくれるその女性に、こっそり尋ねる。
「カトリーヌさんのデス・マスクを撮ってもいいかしら?」
非常識と言われそうだが、芸術には常識なんてものは邪魔くさいだけ。
「はあ…本当に変わってるね、あんた。後であたしも色々調べたいから一緒に行くかい?」
鳥澤さんは理解がある。
突き出た鉄柵に、無惨にもお腹を串刺しにされたカトリーヌさんの死体は、管理人さんが処置してくれ、今は浴室の風間さんの隣で眠っている。
ベランダから身を乗り出して、あやまって下へ落ちてしまったんじゃないかということだった。
最初のコメントを投稿しよう!