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ふと、人の気配を感じたが、誰もいない。
まさかと思うが、バラバラ事件の被害者の幽霊か?
あたしは、意外とその手の話はダメなんだよなあ…そう思って、毛布の前をかきあわせた。
「あれ…?」
小さな影が廊下に映し出される。
「どうしたの?」
アトリエと反対側の角から、小さな頭がのぞいていた。
管理人さんの娘か。
こんな時間にどうしたんだろう?
「子供は寝る時間だろ?うろうろしてると、お化けに食われるぞ。」
くすり、と小さな笑い声。
「…パパが、持っていきなさいって。」
少女は恥ずかしそうに、湯気を立てたカップを差し出した。
「スープ?ありがと。」
あたしは笑顔でその可愛らしいマグカップを受けとった。
「…も1つお願いあるんだけど?」
少女が悲鳴をあげる前にあたしは彼女の身体から自由を奪い、その可愛らしい口を手で塞いだ。
「ん…んんっ…。」
「なめんなよ、餓鬼が。あたしは三神と違ってお優しくないからね。…どう考えても、テメエが一番怪しいだろ。」
少女はあたしをギロリと睨み付けた。
そこに、子供らしさなど皆無。
「そうそう、お願いってのはね、あんたのカードが欲しいんだよ。…持ってんだろ?」
膝を彼女の鳩尾に突き立てた。
カエルみたいな声をあげると、少女は大人しく頷いた。
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