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「彼女をけしかけた奴は、属性のことを教えなかったのね。風間は捨てゴマにされたというわけ。」
もし、三神以外の人間の名前を告げていたら、風間は助かったのかもしれない。
その時は、他の誰かが死ぬだけ。
どう転んでも、良かったんだ。
「待ってよ…まずいじゃない、それ。」
風間を利用した奴は、三神の属性に気がついたということじゃないか?
両性類以外のカードなら、三神を殺すことが可能だと、気づいているんじゃないか?
「ふっ…私、今回はダメかもしれないわ。」
三神は哀しげな眼で、微笑む。
普段は笑わないくせに、こういう時は笑うんだな。
「…このゲームってさ。」
あたしは沈黙が怖くて、とにかく思いついたことを口にする。
「絵を完成することが、目的で、人を殺すことが目的じゃないんだよね?…なぜ、人が死ぬ?いや、なぜ殺そうとする意志が働いている?」
三神が爪を噛む。
考える時の癖だ。
「成る程、私はただのカードの奪い合いが目的だと思ってた…。あるのよ、隠された裏ルールが。」
裏ルール?
「…つまり、ゲーム参加者の中に、例えば勝ち残れば賞金を山分け出来るというルールを知らされた者がいたとする。山分けだと、生き残りは少ない方がいい。まあ、これは例えばだけど、人が死ぬことを推奨するような隠しルールがあるのよ。」
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