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そうして道無き道をある程度進んでいると、自分たち以外の者の話し声が聞こえた。
フヒトとヨモツは声のする方へ極力音を立てずに静かに近寄る。
すると、そこにはいかにも世紀末な格好をしたモヒカンの男と兎を模した人型の怪異がボロボロのスーツを着た中年の男とその背後に隠れる女の子を囲んでいた。
しかも、よく見ると怪異は人の腕や足の様なものをトウモロコシのようにバリバリとかじりっていたりしている。
「ひぃーははは、お前ら最後の希望だった退魔師殿はご覧の通りこいつらの餌となりましたぁ!!!!で、お前らはどうされたい?ん?どうして欲しい?」
そう言ってモヒカン男は声を大にして笑い始めた。
「ぐっ、殺るなら俺だけにしろ!この子は見逃してくれ!」
中年の男は更に後ろの子を庇うように懇願した。
片膝をつきながはも男は必死にモヒカンをにらみ続けている。それはもう、まさに鬼気迫ると言うに尽きるほどである。
「ふぅん、その子ねぇ、ってかそれが願いなのか~~。あ、そうかそうか、そうなんだな、で?だからどうしたの?」
「貴様!」
「だって聞いただけで叶えるとは言ってないんだぜぇ!じゃあなオッさん!殺れ兎ども!!」
と、次の瞬間に兎の怪異と同じ頭数の銃声が鳴り響き、男を庇うようにヨモツが現れ、モヒカンの背後から銀華が不貞の輩の首を落とさんとばかりに斬りかかった。
「んなぁ!?」
撃ち抜かれる兎と目の前に現れた謎の女にモヒカンの脳内は混乱に陥った。だが、彼は戦い慣れていたのか即座に背後からも敵が来ると感じ取り、銀華の太刀を受け流して横に回避した。
「チッ………」
銀華は軽く舌打ちをし、即座にモヒカンに斬りかかる。
「ひょひょ?」
銀華の動きが速すぎたのか、はたまた彼女の太刀筋が予測不可能だったのか、モヒカンは綺麗に股間から頭のてっぺんまで縦一文に斬られた。
その隙にフヒトは男の元にも駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ、なんなんだね君達は……見たところ危害を加えてくるような輩ではないな」
「えぇ、私たちは外から派遣された陰陽庁の者です。安全な所に移動したいんですが、ここらの土地勘がなくてですね」
男のはあまり信用を置いた目つきではなかった。
「仕方が無いか、私が安全な場所に案内しよう、私はここの警官で木村隆臣という」
木村が立ち上がろうとした時、ヨモツが声を張った。
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