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「まだ終わってないわっ!」
その一言のみ発した後、ヨモツはすぐさま自らの術をモヒカンに放った。
モヒカンの周りに黒の渦が生まれ、その中から生々しい手が「黄泉の国」へと対象者を引きずり込む。
その対象者に例外はなく、モヒカンも漏れなく渦の中に消えていった。
妙な空気が辺りを包み込み、木村と少女は何が何やらである。
そんな中、ヨモツは珍しくその顔を歪め、小さく舌打ちをする。
直後、まるで時間が巻き戻されたかのように渦が生まれ、中からモヒカンが出てきた。
「おぃおぃ、ひでぇじゃないかよー、なんだよ、ん?もしかして君らも混ざりたいの?」
今までの傷などなかったかのようにモヒカンの身体はピンピンしていた。
「う、な、なんなんだお前は!」
木村が狼狽え、フヒトがげんなりとした表情に変わる。
「なんなんだって、おっさんにはもう一度見せたじゃん~あれ?あぁ、おっさんの時は護衛の退魔師が雑魚すぎてオレっち死んでなかったわ」
モヒカンは更に自信と嗜虐心が増長したのか、酔った様であった。
そんなモヒカンに狼狽えたのが木村と少女。
すぐさま次の行動に移ったのが銀華であった。
銀華はフヒトの命令が届く前に理解していた。
(私の役目は辺りの索敵……モヒカンの術は第三者の可能性は大…)
だが、それと同時に第三者が見つからないのも事実として立ち上がる。
(むぅ、めんどくさいな…)
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