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銀華が駆け、フヒトとヨモツがモヒカンにさらなる攻撃を加える。
しかし結果は同じ、直ぐに元通りである。
「あぁーなんだ、そういったビックリ人間みたいな術なのかよ…なぁヨモツさん、どうする?」
「んーどうするって言われてもねぇ、このまま攻撃を加え続けるのはどうかしら?」
「ヨモツさんの技でなんとかあいつを縛り続けれないの?」
「それはさっき試したわよ」
こうやって喋りながらだが、片手間にフヒトは銃弾をヨモツは術を加える。
ミンチにしても、叩き潰しても、モヒカンは戻る。
「やめろよぉーお前らじゃ無理無理無理ぃ~!!そこの男とおっさんはウサギの餌だ!和服の女は、そぉーだなぁ~またあの時みたいにヤッてヤッてヤッてウサギの餌だ!」
げんなりしたフヒトが何やら可哀想なものを見るような目でモヒカンを見下ろす。
「お前が今まで何をしてきたとかどうとかまぁ考慮するべきなんだが……取り得ず状況が状況だからなぁ、俺は【処断権】を持ってる、まぁおまえみたいのを問答無用で処分できるライセンス持ちってわけさ、分かったらさっさと死んでくれ」
「寝言は寝て言いましょうって言われたことなかったのかしらぁ?」
フヒトとヨモツ、やることはいつもと変わらずである。
どうしようもない悪に鉄槌を容赦無く下す、そんな仕事である。
彼ら陰陽庁にはある階級に着き一定の条件を満たすことで【処断権】と言われる職権を得ることができる。
どういったものなのかを簡単に説明すると、凶悪な怪異または怪異に関する力を行使する者を現場の判断で殺っても良し、というものである。
しかし、この制度が制度なので処断権を有している職員もあまり行使することは避けられている。
あまりこの権利を使いすぎると、今度は陰陽庁の査問委員会に疑われ、「それなり」の部署に転属されるなんてことになりかねないからである。
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