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原因は…
もちろん私じゃない。
「…拓…あんた、いつまで寝る気?」
家がお隣さんの幼馴染み、五十嵐 拓。(いがらし たく)
同じ高校に通う高校3年だ。
小学生の頃から、こうしてずっと朝迎えに来てあげてる。
「美優は朝強いよなー…尊敬するわ…」
「さっさと起きなさいよ!
もう45分だよ?!」
「分かったよ…」
渋々起きて、起き上がるのを見届けてから私は先に玄関に向かう。
『拓のせいで、私まで今月やばいんだから…』
私の学校は月に遅刻を5回以上すると、反省文を書かされる。
私と拓は、その常習犯。
階段を降りたところで、リビングに拓ママの背中が見えた。
「ママさん、行ってきます!」
そう声をかけると、拓ママは振り返ってにっこりと笑った。
「いつもありがとうね、美優ちゃん…
拓のせいで、美優ちゃんまで反省文書かされてるんでしょ?」
お母さんめ…拓ママに余計な事言ったな…
「いえいえ、大丈夫ですよ!
もう慣れましたから!」
「ごめんね…あ、これ。
お詫びにクッキー焼いたから、昼休みにでも食べて?」
「え?!本当ですか?!
ママさんのお菓子大好きなんです!!」
「もー、美優ちゃんったら褒め上手ね~」
恥ずかしそうにママさんはそう言うけれど、本当に好きなのだ。
昔、ケーキ屋さんで働いていたらしくよくお菓子をお裾分けしてくれる。
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