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私と拓の家から学校は自転車で10分くらい。
「あー、もうこれアウトだ。
美優、ゆっくり行こうぜ。」
「嘘?!
飛ばしたら間に合う…」
そう思って時計を見たものの…
「55分…?」
「お前がお袋とたらたら喋ってるからだろー。」
「お前が言うな!」
殴ろうとする私をすっと交わして、拓は自転車にまたがる。
「今日は乗せてやる。
遅刻のお詫び。」
「え?」
なんだ、悪いと思ってんじゃん。
「…乗らないなら、置いていくけど。」
「乗る!」
慌てて私も荷台に乗って、拓の服を掴む。
「じゃー、行くか。」
まだ眠たそうな拓の声と、いつもの拓の香水の匂い。
まだ直しきれてない寝癖を眺めながら、私の1日が今日も始まろうとしていた。
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