《私は父が嫌いだ。》

3/12
前へ
/14ページ
次へ
  父はお節介なほど世話焼きな性格だった。 その為 友人の幅も広く、今回の事も通達に骨が折れた。 「秋穂ちゃん…だよね。この度はご愁傷様です」 父の知人、と思われるはとに声を掛けられた。 「いきなりの訃報でびっくりしたよ。 あんな元気だった人が…まさか事故なんてクルッポー」 彼は残念そうに首を振る。 私は壁に掛かっていた時計で時刻を確認した。 午後10時ちょうど。 「俺も辰五郎さんにはよくお世話になってね…クルッポー。 1週間前にもクルッポー、電線に引っ掛かってた所を助けて貰っクルッポー」 彼の目にはいつの間にか涙が溜まっていた。 「何で…どうして死んじゃったんクルッポォォォォォォォォォォ!!!」 「鳩島、落ち着け! 1番泣きたいのはきっと秋穂ちゃワオォォォォォォォォォォン!!!」 「犬川ァァァァァクルッポォォォォォォォォォォ!!!」 わんわん鳴き叫ぶ2人を見つけた母は、コップ1杯の水と豆を持って 彼らを奥へと促した。 友人の幅が広すぎる。 そんな父が 私は嫌いだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加