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午後11時。
母はお酒の入った参列者たちの世話で忙しそうに動いていた。
私も何か手伝おうと席を立つと、黒髪の女性に声を掛けられた。
「貴女、あと6時間後に不幸が起きるわ…」
彼女の右手には藁人形があり、五寸釘が刺さっている。
「でも大丈夫…私が怨神様に頼んでおいたから…この藁人形を使って…。
私の呪いは絶対なの…」
背中にエアコンの風がひやっと当たった。
…と思ったら、この部屋にはエアコンが無いようだ。
「あの日もちゃんと頼めば良かった…
あともう1本多く打てばあの人は死ななかった…
私がジャニヲタだって知っても笑わなかった辰五郎さんを死なせずに済んだ!!!」
彼女は体を震わせ、悔しそうに藁人形を握り潰す。
すると、喪服の中から鎚を取りだし五寸釘を打ち始めた。
「私の馬鹿!! 私の大馬鹿!!
Mステなんて録画して見れたじゃない!!」
彼女は泣きながら藁人形の腹を打ち付ける。
私はその様子を見て、少し胃が痛んだ。
死んでも尚 ジャニヲタの呪いをかけられる。
そんな父が 私は嫌いだ。
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