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静かな仏間に 時計の秒針の音だけが響く。
ちょうどその針は午前2時を差した。
「宇沼さん、少しお休みになって下さい。
お線香は私たちが見ておりますので」
「…℃♀★§△※@」
何を言ってるのかよく分からない。
しかし、どうやら宇沼さんは母に促され、仮眠を取りに奥の部屋へ戻ったようだ。
広い仏間には母と私の2人。
すると、まだ幼い子供を背負った若い女性が訪ねてきた。
「随分遅い時間にすみません。
…どうしても、ご主人にお礼を申したくて参りました」
彼女は深々と頭を下げる。
背中の子はすやすやと寝息をたてていた。
「本当はもっと早く来たかったのですが…今日は遅番でして」
話を聞くと、彼女は大きな病院に勤める看護師らしい。
担当している患者のファイルを纏めていて、気付けば日を跨いでいた、と。
すると、彼女は急にバッと勢いよく頭を下げた。
「この度は大変申し訳ありませんでした!!!」
彼女の突然の行動に私たちは目を丸くして驚いた。
母が必死に顔を上げるよう促すが、彼女は一寸たりとも動かない。
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