《私は父が嫌いだ。》

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  「まぁま…?」 「っ…、優梨…」 女の子が目を擦りながら背中から降りる。 「ここにおじたんいるの…?」 寝ぼけ眼で彼女を見上げながら問う。 すると、彼女は女の子をしばし見つめた後 服の袖で顔を拭い、こちらに視線を向けた。 「…この子も、辰五郎さんに一言お礼を言いたいそうなので連れてきました。 お線香、上げさせて下さい」 母は微笑みながら頷く。 女の子は彼女に促されながら、おぼつかない手つきで線香を炊いた。 「おじたん、ごめんなたい。 ――ありあとう」 綺麗な女性の顔をぐしゃぐしゃにし、小さな子に謝罪をさせる。 そんな父が 私は嫌いだ。
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