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「…うっ……」
頭痛と吐き気で目を覚ます。……頭痛と吐き気?なんで、僕は死んだはず。
うっすらと目を開ける。開けたら、銀髪にゴスロリを着た女の子がいた。どういう状況だこれ?端から見たらロリな男が幼女を連れ込んで、返り討ちにされた図じゃねーか。
てかガン見されてる。目が合ったレベルじゃない。熱烈と言っていいほどにガン見されてる。
なんだか嫌な予感がしてならない。目を閉じておこう。死んだフリをしとこう。その方がいい。面倒事に巻き込まれるのは真っ平ゴメンだ。
もう一度安らかに眠るために、目を閉じる。
「あぁっ!なんで寝るの!?起きてよきかん坊!」
胸倉を掴まれてがっくがっくと激しく揺さぶられる。そりゃそうか。あんな至近距離でガン見されてたら。てか誰だきかん坊って。
【スミノフ、ぼくはここだよ】
声が聴こえて初めて気づいたけど、右手に白い機関銃を持っていた。その機関銃から、声が聴こえている。勿論だが、普通機関銃は喋らない。
「え?……ってことは、死体への定着は失敗した?」
「……おい」
【そういうこと。知識が吸収されただけだし】
「魔方陣は一ミリの狂いなく書いたのに、ボクに限って失敗なんて!」
「…おいって」
【何寝惚けたこと言ってんのさ。失敗しかしてないじゃん】
「ボクがいつ失敗したのさ!?」
「おい」
【失敗と言うか、馬鹿?】
「ボクは馬鹿じゃない!」
「少しは僕の声も聴けや!」
つい蹴ってしまった。なんかありえないスピードと動きで蹴った気がするが、気のせいだろう。蹴られた幼女は涙目で僕を見てくる。
「ひ、酷い……。か弱いボクを蹴るなんて」
蹲り口元に手を宛て、わざとらしくぷるぷると震えている。なぜかイラッとくるな。もう一発くらい蹴っても問題ないだろ。
【スミノフ、そろそろ真面目になったら?このお兄ちゃんに蹴られたいの?】
「蹴られるのはやだ。じゃあ説明する前に自己紹介しようよ!ボクはスミノフ、そっちの機関銃はきかん坊!お兄さんは?」
笑顔で僕の手を握ってぶんぶんと振ってくる。
「僕は……。悪いけど名前を覚えてない」
名前を覚えてない。それがスミノフときかん坊に吐いた最初の嘘。
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