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「だあぁぁぁぁぁぁぁ!なあぁぁぁい!死ぃちゃんの個人情報がない!なんでさ、なんで死ぃちゃんの名前が分かる物だけないのさ!?死ぃちゃんの名前が分かると思って喜んだのにー!」
スミノフがタンスやら押入れやらをひっくり返す勢いで、僕の名前が書かれている物を探す。が、十五分もかけて探してるのに一向に見つからない。
まぁ、僕としては見つからないのなら見つからない方がいい。大方、妹が持って行ったんだろうけど。
「死ぃちゃんは見つけた!?」
「ないな」
「おのれ!なんでない!」
【いや、考えなくても分かるじゃん。犯人が持ち去ったしかないでしょ】
「……その発想はなかった」
本気で驚いた顔してるし。馬鹿だこいつ。
でもなんで、妹は僕の個人情報が書かれた物を持って行ったんだろう。持って行ったところで、すぐ身元は判明するだろうに。
【ないなら仕方ないよ。思い出すまで死ぃちゃんってことでいいじゃん】
ぷぅっと頬を少し膨らませて不機嫌を装う。なんだかイラッとくるな。
「おい、その前に僕に死体に戻るって選択肢はないのか?」
「え?ないよ?だって戦力になるし、そもそも蘇りの制約で死ぃちゃん、勝手に死ねないし。それに死ぃちゃん、ボク好みの顔してるし!……って、いったーっ!?」
思わず思いっきり頭を叩いて(はたいて)しまったけど、まぁいいや。
「酷いよ!か弱い乙女の頭殴るなんて!」
何がか弱い乙女だ。そう言おうとしたら、先にきかん坊がとんでもない秘密をバラした。
【何言ってんのさスミノフ。死ぃちゃん騙されちゃ駄目だよ。あんな格好してるけど、男だから。ついてる物はついてるから】
「わーーー!?きかん坊何バラしてんの!?恋愛フラグがぁ、ボクと死ぃちゃんの恋愛フラグがぁ……」
本気かそうじゃないのか分からないけど、手をついて落ち込み始めた。
てか男なのか。この容姿で。世の中は広いな…。
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