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こいつと僕の恋愛フラグは地球が滅びても立たないとして、僕の名前探しを諦めてくれたからほっとする。
それにしてもこれで男とか、神ってもんはろくなことをしないな。確かに可愛いのは可愛いだろう。でも男。ついてる物はついてる。そして察するに、男なのに男好き。僕に男色の趣味はない。
「とりあえず、さっき言ってた蘇りの制約ってなんだ?ちゃんと説明してくれないと協力出来るものも出来なくなる。今までの話を整理するとだ、僕はなぜかきかん坊の知識を吸収していてきかん坊を難なく扱える。僕はお前のモノだから、命令には逆らえない。この身体は生き返った訳じゃなく死体のままで、新鮮なDNAを定期的に摂取しないと腐る。痛みがなくて、木端微塵にでもされない限り傷はすぐ治る。お前は魔法少女で、敵である魔物相手に戦ってて、僕も拒否権なく戦わされる。で、そんな容姿で男。こんな感じか?」
「最後だけ悪意たっぷりな気がしたけど、そんな感じ!蘇りの制約はそんな強い制約じゃないよ。命令には逆らえないのと、テンダラーを行使した魔法使いには危害は加えられないのと、勝手に死ねないのと。それくらい」
「もし、DNAを摂取せずに身体を腐らせて、自殺しようとしたら?」
「ん?しようとしても多分出来ないよ。腐敗度に合わせて空腹が襲うようになるから、さながら漫画に出てくるようなグールとか吸血鬼みたいに。テンダラーの飢餓は結構地獄らしいから、オススメしないよ?飢餓感が限界を超えちゃったら見境なくなっちゃって、いったーっ!?また殴ったー!」
「なるほど。危害は加えられないって言うけど、基準は甘いんだな。殴る蹴るは大丈夫で、殺そうと思わない限り危害にはならないみたいだな。それより、人をとんだ化物にしてくれたな?飢餓感が限界を超えたら見境なく人も化物も襲うってか?」
「死ぃちゃん、怖いよ?怒らないでよぉ、死ぃちゃんの魂が蘇るなんて思わなかったんだもん」
ぐすぐすと泣き真似をしつつ、僕を見上げてくる。
「協力してやるからそんな下手な泣き真似やめろ。どうせ僕には拒否権もないんだし」
「えぇー!?ホント!?やったー!初めてテンダラーが出来たー!」
はしゃぐスミノフとは対照的に、僕の気分は落ち込んでいく。
窓の外に見える空は、憎たらしいほどの青。まるで僕を嘲笑っているほどの青。
いつも思っていたことがある。
この青い空の下で生きるには、僕は相応しくない。
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