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「ねえ、真一…今日こそ一緒に帰ろうよ~」
放課後裕也がしつこく俺と一緒に帰ろうとするが却下。
俺は部活があると言って断り、部室へ向かった。
「あ、おに…木崎先輩も部活ですか?」
部室へ向かう途中知った声がするので振り向くと、そこには中等部上がりの高校生で俺と同じ異端審問部員のリンがいた。
鬼…?聞かなかったことにしよう。
「ああ、”も”ってことはお前もか? 毎日ご苦労なことだ」
俺はあの猫耳と違ってリンには基本的に甘い。
というのもこの子は優秀な姉に囲まれて日々劣等感と戦い、姉を見返すために部員になったらしい。
というより俺が誘った。
それにこいつの実家の頼有軒は俺もお得意様をしているので前から顔見知りだったという理由もある。
特徴はわずかに緑がかった金髪に翡翠色の目だ。
そういえば会長の友人にアリサというリンの姉がいたが…まぁそいつに関してはあまり語るべきではないだろう。
「そういえば聞いてくださいお兄様」
「誰がお兄様だ で、どうした?」
鬼じゃなくてお兄様なんだな。
ちなみにリンはさっき言った劣等感のせいもあって俺をお兄様と呼ぶことがある。
はぁ…ウチの妹もこれだけ可愛かったらなぁ…。
「実は…入部希望の人がいるのですが…」
「…なぁ、もしかしてうなぎさんか?」
「あ、ご存じだったんですね あの子は前部長のお友達だそうで現役員にも知り合いがいるそうです」
だったらそいつらに入れてもらえばいいじゃねえか…。
裏口だが。
「ですからわたくしからもお願いします あの子を入れてもらえないでしょうか?」
「ですからって…俺に関係ないんだが? まぁ考えてはおくよ」
面倒くさいが他でもないリンの頼みだ。
聞かないと気分が悪い。
「ありがとうございます! ではお先に失礼します!」
「あれ? 部室に入るんじゃねえのか…?」
俺の言葉を聞いてリンはどこかへ走っていった。
全く俺は考えると言っただけで決めたわけではないんだが…。
まぁいいや…さっさと入るか。
「こんにちは…って魔王様と副部長ですか 男だけだなんて珍しいですね」
部室には妙なマントを被った不審者ルックスの魔王様とどこにでもいそう系男子の副部長がいた。
部長と厨二がいないのは珍しいな…。
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