第8話

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「…………もしかして……あのビラ作ったのって……」 そう言うとミナが突然顔を覆い、 おいおいと泣き出す。 まさかの事態に私も沈黙し、 桃だけがやたらと元気だった。 「……それだけじゃないわ、安野さん。 ほら、あの机の上のも自分がやったって白状したのよ。 ……どうする?この人」 「……どうするもこうするも……」 言ってまた号泣するミナを見る。 青天の霹靂とは、 この事だ。 桃が得意気に語った話はこうだった。 朝早く来て勉強しよう。 そう思い早めに学校に着いた。 人影はまだほとんどない。 その前にトイレトイレっと……。 思い廊下に出ると、 掲示板前でミナとばったり会ったと言う。 「……この先輩ってかわいくてこの学校で有名だったから、覚えてたの。 ほら、安野さんの痴漢事件の時もこの人ターゲットにされてたしさ。 で、声をかけたらね」 先輩、おはようございます。 そう言うとミナは何かをさっと隠した。 そこからは安っぽいドラマみたいな展開で、 後ろに隠したビラがひらり、 下に落ち…………。 「……ビックリしたわよそりゃ。 私だって安野さん嫌いだけどよりにもよってこんな清楚でかわいい先輩がって。 ……別におもしろおかしく黙って見てたら良かったんだけど…… 私の中の正義の血が騒いだのよねっ」 見逃してくれと頭を下げるミナに、後で私と広田に謝るのならと取引をした。 「……本当にごめんなさい…… もう絶対……しないから…… 私がやったって……先生達には言わないで……推薦で大学、決まってるの」 華やかなミナが、 今やドライフラワーになりつつある……。 でも何で……? それが疑問だ。 「……ミナさん……すごく不思議なんですけど……何で……なんですか? 広田の彼女なのにどうしてあんな……」 「……えっ!?嘘っ、マジっ……!!?」 「田中は黙ってろって。 とにかく………………」 何でなんですか……?
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