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「光(ヒカル)ッ……!
おまえ俺のパンツ知らねー?」
ノックなどオシャンティなもの、ある訳無い。
そうここ、安野(アンノ)家では……。
次男である響(ヒビキ)兄は、
冬の早朝、
妹の布団をひらりと奪う。
「……さみーょ……」
だからってすぐ起きれない。
私は自慢する程の低血圧だ。
尺取り虫みたいに体を曲げて、
冷たい朝の空気から逃げる。
「……るせっ、
おまえが履いてる事ぐらい百も承知なんだよっ」
ジャージのズボンをぐいと下げられ、
「……ほらな。
俺のお気にちゃん発見。
誘拐犯人はおまえしかいねー。
さあ返せっ!」
……そして更に更に……
……兄妹とは言えさすがに不味い……けど……どーでもいい。
あと五分……寝るの希望。
下半身すっぽんぽん、
の私はもう一度お布団をかけてもらった。
「おっし!これで落ち着いたっ。
やっぱ月曜はこのパンツに限る。
ハハッ、じゃーなっ」
嵐のような男が
階段を激しくかけ降りて、
校内放送のごとく秩序のある
声が私を呼ぶ。
「ヒーちゃん、もう起きて。
ごはんだよ」
……そう。
この声が私は好き。
お弁当も毎日。
心配も毎日。
昴(スバル)兄は最高ランク。
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