第1話

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…………ヒー……ちゃん……? そこはこの病院に数室しかない 特等室だった。 そこに辿り着くまでのやけに長い廊下の隅々に、 その病気の要素を何となく感じる。 そしてその角部屋をノックをする 寸前、広田は私を振り向いてこう言った。 「……兄貴…… 白血病なんだ。 家族や親戚全部調べたけど、 骨髄移植のドナー不適合で、 今は誰か適合する相手の、 順番待ち……」 驚かなかった。 そう思うにはこの長い廊下で十分だったし、 ある程度は想像……出来たから。 コクンと頷くと、その扉を広田が開ける。 そこから響くやけに明るい広田の声と、 ドアの上にある 【虹橋 凌駕(ニジハシ リョウガ)】 の名札、 それからあの…… ヒーちゃん……? って言う、低く優しい声。 トクトクと、動き出す鼓動。 それは家族以外、 呼ばない私のあだ名だから。
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