第2話

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…………ごめんね。 覚えてないよね。 寂しそうにその人は言った。 扉を開ける前、 想像していたような病人ではなく、 広田をそのままコピーして、 違う服を着せたような……人。 「……双子……ですか……?」 質問には答えず最初にそう訊いた。 するとその瞳は私を見て微笑む。 「……違うよ。 日向の1つ上。 似てるでしょ?」 ……って。 「……何で凌駕今日はパジャマ着てねーの? ふふ。わかってたけど」 私の後ろにいる日向がからかうように言い、 虹橋 凌駕の顔が紅くなった。 ……虹橋……にじ……はし!? 冷静になってから驚く。 虹橋なんて珍しい苗字。 「……あの……虹橋ってその……」 訊くと凌駕はゆっくり瞬きをした。 「……そう。 ヒーちゃんと日向の学校の、だよ。 因みに僕も籍だけはある。 ……もうかれこれ2年近く、 ここが僕の教室だけど。 小さい頃僕達の親が離婚してね。 僕は父親に、日向は母親にそれぞれ引き取られたから……」 ……そ……う……なんだ。 と言う事は……広田も学園長の……。 振り返ると、広田が肩をすくめる。 でもまだ私をあだ名で呼ぶ謎は、 全然解けてはいないのだ。
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