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「…………ですか。
色々……あります……よね」
何から話せばいいのかわからず、
そう言うと広田が笑った。
「安野やけにしおらしいじゃん。
いつもの調子で喋ったら?」
「……ってバカ、そんなこと出来る訳ねーだろ!?」
言ってからハッとして凌駕を見る。
こちらは日向とは真逆で上品に、
ただ静かにクスッと。
「……いいんだよ、ヒーちゃん。
僕は君を、よーく知ってるから」
意味深なその言葉……。
そう、それだ。
そこをちゃんと解明しなきゃ。
「……あ……の、ですね、
私全く……事情が……」
「……うん、ごめん。
それを説明しなくちゃね。
ヒーちゃんの記憶に、僕がいないなら」
虹橋 凌駕はそう言って、
「……もし足りない部分があるなら、そこは日向がフォローよろしく」
と、広田に言った。
また……鼓動がトットトなる。
この人と話すのは、
私が開けたくない扉の鍵を開けてしまう……
ふとそんな予感がして。
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