第1話

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私立虹橋(ニジハシ)学園は、 偏差値も高め、 制服もかわいいと言う事で、 公立に行くつもりだった私に 昴兄と響兄が勧めた。 女の子はやっぱ私立でしょ、 とか言って。 でも少し考えれば分かったはずだ。 こんな私に私立が似合う訳がない。 仕事が多忙な昴兄より、 響兄と大半を過ごす。 それはオオカミに育てられた少年と一緒で、響兄の言葉が私の言葉になった。 でも私がこんななのはそのせいだけではない。 2人が私の為に必死で働いているのに、 ちゃらちゃらオシャレなどしていられない。 私が男みたいだったら、 2人にそんなには心配をかけない。 そんな想いが膨らんで、 いつの間にかそうなった。 『次は~学園前~学園前~』 アナウンスに顔を上げる。 ……とその時ふと気づいた。 ドア付近に立っている、 同じ制服の上級生。 ……あ……れ、痴漢だよな。 その後ろに立つ銀色コートのテカテカ親父。 上級生は気づいているようで、 逃げ場の無い隙間で汗をぬぐう。 電車が駅で停まると、 まだ降りない親父の腕を通りすがりにむんずと掴んだ。 「……な、なんだっ!?」 「降りろよテメー。 さっきケツ触ってたろっ……!」 そのまま引っ張り駅のホームへ。 さっきの上級生は……と言うと、 騒ぎになるのが嫌だったのか、 そそくさと改札へ逃げて行った。 ぷしゅーと閉まるドア。 ……やっちまったなぁ……。 「……お嬢ちゃん、 いつ誰がどこで君のお尻を触ったのかね!?」 ニンマリする親父……。 気づいた駅員がやって来て、 私と親父を交互に見た。
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