第3話

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「……なるほどな。 それで謎がついに解けたわ」 「……謎って……何だよ?」 奥歯がギリギリするほど 噛み締めて、 蕁麻疹の事すらすっかり忘れた。 「いやさ、おっかしーなとは思ってたんだわ。 好きなやつがいるって言ってたくせにあっさり凌駕と付き合うし、 それに独特の匂いがしねーし」 「……ど……くとく!?」 「ああ。 だいたいな、どんなブスでも 本当に好きな奴がいる女からは、いい匂いがぷんぷんすんだよ。 おまえからはそれがいっこも 匂わなかった。 ……ってそりゃそーだわな。 相手兄貴かよ。 ……ったくブラコンにも程があんだろ」 ヒヒヒヒってまさにそんな笑い方をして、 おかしくてたまらない風な広田は言った。 ……こ……の……やろう 拳をグッと握りしめ、 今度こそ強烈なカウンターパンチをくらわせてや 「……あのぉ……お取り込み中申し訳ございませんです。 私は一体いつまでここにいれば宜しいでしょうか」 ……れなかった……。 塚さんがドアの前に立ち、 寒そうに肩をすくめる。 「……だってよ。 飯塚さんは腰痛持ちなんだから 迷惑かけんなって」 まだニヤついてる広田。 塚さんにだけお礼を言うと、 私はそのクソ野郎に 背中を向けた。
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