プロローグ

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細い路地を、その場に似つかわしくない黒い高級車が走っていた。 外は大雨で、目を凝らさないと何も見えないような状態だった。 キキーッ 「なによ! どうしたの?」 いきなり急ブレーキをかけたために驚いた声を出す。 その艶のある声からして、30代半ばの女性だろう。 「女の子が...。」 そうつぶやく男性の声。 乗っていた車から降りて大雨の中、一目散にある一点にかけよる。 「大丈夫かい?...大変だ...。」 男性の腕には、 まだ幼さの残る女の子が抱えられていた。 「まあっ! 仕事どころではないわっ 今すぐ家に帰りましょう!」 後からかけよって状況を理解した女性が、一呼吸に言う。 少女の耳には、 美しく輝いた青い石のピアスがはめられていた。
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