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彼女を束縛してるつもりはない。
毎日のように連絡を取っていたのも、ただ彼女の声が聞きたいから。
何をしているか知りたいから。
だけど、それが重荷なのかもしれない。
彼女はバスケ部のマネージャーで、受験生で予備校にも通ってる。
電話に出れないときは翌日謝罪のメールが送られ、その文面からも忙しさや大変さは伝わってくる。
電話に出れないことを気にしてるわけじゃないけれど、彼女は気にしてるんだろうか?
彼女に何かをしてあげることも出来ないくせに、自分がしてることはただ、負担になってるんだろうか?
昔は同じ空気の中にいたはずなのに、今では彼女は彼女の世界があって、自分には自分の世界がある。
ふたつの世界は決して共有する事は出来なくて――。
「そんじゃ、金曜の夜な? 忘れるなよ?」
授業が終わり、ざわついた教室でレオにそう言われて、凌は曖昧に「うん」と答えた。
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