言えないキス

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連れて行かれたのは町外れのある一軒屋。 その威厳間には鍵がかかっておらず中に入ると、少しばかり煩い音楽に薄暗い照明。地下があり、降りるとビリヤード台が2台、そして壁際にはダーツ、 アメリカ映画に出てくるような景色の中で、 「リョウ! 本当に来てるれるなんて!!」 知らない女の子に抱きつかれた。 「ごめん、誰?」 素直にそう聞くと赤毛の彼女は不服そ うに凌を見上げる。 「サリーよ! サリー・ワイパー、今日の主催者なんだけど?」 そう言われて、凌は「あぁ、ごめん ね」といつもの笑顔を見せる。 「でも来てくれて良かった! みんな で賭けをしてたの」 「どんな?」 「リョウが来るか来ないか。で、私の勝ちってわけ。だから好きなだけ飲んで!」 サリーはそう言ってウインクをひとつすると凌に瓶ビールを持たせた。 そして、「サリー!」と呼ばれる声に小さく舌打ちして、 「ごめんね、すぐに戻るからまた話しましょ?」 と走っていく。 「可愛いと思わね?」 そんなレオの声には素直に、 「可愛いね」 と答える。するとレオは笑って、 「来てよかっただろ?」 と背中をバンバン叩いた。
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