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貰った飲み物を口に運ぶ。
ほんのり苦くて、シュワシュワと喉に刺激を与え胃に滑り落ちていく。
「リョウ! 珍しいわね、ダーツでもやらない?」
「あら、プールの方が楽しいわよ、ね?」
珍しい来客者に話したこともない女の子達が集まってくる。
「人気者ね、リョウ」
そんな声に振り返れば見覚えのある彼女。だからといって名前すら思い出せないけど、
「日本人が珍しいからじゃない?」
凌はそう言ってニコリと笑った。
のに、
「私の誘いは断ったくせに」
目の前の彼女は不機嫌を全面に押し出すから凌は「ん?」と首を傾けた。
ブロンドに碧眼、チェリーピンクの肉厚な唇。
思い出したのは、
「あぁ、シェリーか」
「……ちょっと、どこ見て思い出してるのよ」
豊満な胸が見えたから。
「サリーがよくて私がダメな理由、教えてくれる?」
その胸を張り迫る彼女に凌は動じることもなく「違うよ」と返した。
「違うって何がっ」
「サリーも、君も好きだよ、シェリー」
ニコリと爽やかな笑顔でそんなことを言うから、シェリーも言葉を詰まらせた。
「この綺麗な髪も柔らかい肌も、少し甲高い声も、女の子はみんな可愛くて、僕は好きだよ」
「……」
多分、最低なことを言ってるはずなのに、彼の笑顔にその声に勘違いしそうになる。
「その胸も触れたくなるくらい素敵だし、その唇だって――」
つーっと唇を撫でる指先に感じたのか、シェリーの身体が微かに震えた。
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