言えないキス

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「もしも、美穂と出会ってなかったら間違いなくキスしたと思うね」 クスリと目の前で笑われてシェリーは、はっとするように肩を震わせた。そして、唇をキュッと噛み締めて、 「……で、サリーにも同じ口でキスするね?」 確認するようなシェリーの質問に凌は躊躇うことなく「うん」と頷く。 「今でも女の子はみんな好きだよ。柔らかい唇にはキスしたいし、白い肌には触れてみたいと思うよ」 かなり酷いことを言ってるのに、爽やか過ぎる笑顔に、 「……なら、してよ」 シェリーは思わずそう聞いてしまった。 プライドなんてあったものじゃない。 誰でもいいなんて言ってる男にこんなことを言うなんて――。 それでも後悔なんてしてない自分がいる。 彼女がいても、女なら誰でもいいなんて言ってる彼と、キスがしたい。 だから、彼の顔に手を伸ばしてその唇にそっと触れた。 男のくせに柔らかくて弾力のある唇。 そして、少し濡れた唇に背筋がぞくりとさせられる。 少し、背伸びして彼の顔に近づく。 キメの細かい肌はモンコロイド特有だ。 オリエンタルな顔立ちだけど、鼻筋は通って可愛いとも綺麗とも思える。 欲しい。 これは女の本能かもしれない。 だから、もっと息が触れる距離まで近づいて――。
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