言えないキス

22/37
前へ
/37ページ
次へ
それでもビリヤードの教え方は悪くなかったらしく、 カコーンと玉のぶつかる音が響けば、ゴトリとポケットに落ちていく。 「……もしかして初めてって嘘?」 複雑な顔をするサリーに凌は清々しい笑顔で、 「初めてだよ」 と答えた。 ビリヤードをしながらビールを飲んで、知らない人と声を交わす。 そんなことを2時間もしていたら、 「――っと、ごめん。レオ」 足元がふらついてレオにぶつかった。 「いや、いいけど……、もしかしてお前、酔ってんのか?」 そう言われて考えてみる。だけど、アルコールを飲んだのは今日が初めてで、 「これが酔ってるってことなのかな?」 そう答える凌にレオは「お前らしいな」と笑った。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1560人が本棚に入れています
本棚に追加