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一度酔いを自覚してしまうと見える景色だって歪んでしまう。
だから、その場にストンと座ると「おいおい」とレオの声が降ってきた。
「もしかして初めてか?」
そんな質問には素直に「うん」と頷く。
「アメリカではもうアルコールって飲めるの?」
「21からな」
ニカッと笑うレオに凌は「あれ?」と首を傾げる。
「僕、まだ18なんだけど」
「奇遇だな、俺もだ」
「だよね」
きょとんとする凌にレオは「ははっ」と笑う。
「アルコールに関してはかなり厳しいからな。IDないと買えないしバーにも入ることは出来ない。だからこうして親のいない家に入り込んで、ってことになるわけだ」
そんな説明に「なるほど」と頷いて壁に背中を預けた。
「ってかマジで酔ってんのか? もう無理っぽいなら送ってくれそうな奴探してやるけど?」
見上げると余計でも景色がぐるんと回る。こんな状態なんて初めてで、
「うん、帰った方がいいかも」
そう言って緩い笑みを作った。
その笑顔に固まるレオ。そして、
「……あんま笑顔振りまくな」
「ん?」
「そうでない奴でも勘違いするぞ?」
レオはそう忠告すると、
「大人しく待ってろ」
と凌を置き去りにして人の集まっている方へ歩いていった。
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