第14話

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「春輝,何かアトラクションにでも乗ろうか」 「そ,そうだな」 何を言い出すのかと思いきや,そんな焦る事ではなかった。 本当に今日一日が長く感じる。 腕時計を見るが,まだ正午を回っていない。 しかし,休日ということもありかなりの人混みである。 これだったら逢沢が目を離した隙に迷子になる事も容易だが,彼も馬鹿ではないので園内放送をして呼び出すだろう。 "東京からお越しの佐藤 春輝くん,佐藤 春輝くん。お連れ様がお待ちです,受付までお越し下さい"的な事を言われるんだ。 これは絶対に避けたい。 そうすると逢沢から離れる事はほぼ不可である。 「ど,どれに乗りたい...?」 「春輝が乗りたいものに合わせるよ。ただし,観覧車は夕方に乗ることが条件だよ」 「ねぇ逢沢」 「何」 「夕日の見える観覧車の頂上でキスとかそんな事考えてないよね?」 「ま,まさか。そんな事俺が考えているとでも?」 少し動揺した逢沢。 そのつもりだったのか。 「ジェットコースターに乗りたいんだけど,逢沢は大丈夫?」 「ジェットコースター?余裕だよ,アメリカで散々乗ったからね」 そうだった,此奴は帰国子女だ。 忘れてはいけないが帰国子女だった。 「じゃあ,あれ...」 そう言って指をさしたのは園内最高級に怖いと噂されているジェットコースターである。 正直言って俺は絶叫系が苦手なほうだ。 それに,初デートでジェットコースターに乗ったカップルは別れるっていうジンクスがあるし!! (付き合ってないけど) もしかしたら,逢沢が俺の事を嫌いになるかもしれないし? 「ほう...面白そうだね春輝」 そう言ってニコニコしてる逢沢。 どうやら逆効果だったらしい。 そのあと俺は思い切り後悔することになる。
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