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やっと地獄のジェットコースターを乗り終えた。
「有難う御座いましたー」
係員の陽気な声が聞こえるが,今はそれどころではない。
「春輝,大丈夫かい?」
いや,全く大丈夫じゃないよ見りゃ分かるだろ!!!
そう,俺は恥ずかしい事に乗り終えた後に倒れてしまった。
世界がぐるぐるして,ふらふらして,気持ち悪い。
何故平気なんだ,逢沢…
こんな事になるならば提案しなければ良かった。
「楽しかったね,もう一回って言いたいところだけど辞めておくよ。」
そうしてくれ,逢沢の手を借りて,立ち上がろうとしたらまだふらついて,逢沢の方に倒れてしまった。
「おっと,大丈夫?」
逢沢の細いけども少し筋肉のある男らしい腕に支えられた。
まるで,抱きついているようだ。
「ごめんね,逢沢」
「いや,いいよ。向こうで休もう」
逢沢に連れられ,日陰で座り込んだ。
逢沢は,飲み物を買ってくるとだけ言ってその場から去ってしまった。
「情けない」
自分から提案して,本当は苦手で迷惑かけるなんてさ。
何故か涙が溢れた。
幼稚園児みたいだ,感情がコントロール出来ない。
「ねぇ」
頭上から声が降り注いだ。
…違う,逢沢の声じゃない。
少し強張りながらも,上を見上げると俺と同じ年頃くらいの男の子が数人いた。
道にでも迷ったのだろうか。
「何でしょう」
「君さ,今1人なの?」
その中の1人が言った。
なんで,そんな事言うんだ?
見たら,分かる事なのに。
「今は1人ですが,それが何か」
「俺たちと一緒に楽しまないか?」
「はい?」
某刑事ドラマの警部のようなトーンで聞き返した。
そ,それって所謂ナンパ?
いやいやいやいや,おかしいだろ!!!
俺男だし!!!何なの?女の子と勘違いしてんの?
「だからさー彼氏待ってんのか知らないけどそんなの放置して俺らと楽しもうよー」
囲まれている,逃げ場がない。
すると,俺を立ち上がらせようとした。
まだふらふらするんだけどな。
「あ,あの…連れが居るんで」
「そんなん放置してさー俺らと居る方が楽しいよ?」
無理やり俺を引っ張って行く。
「ちょ,辞めろって…!」
多少ふらついている為,抵抗出来ない。
助けろよ逢沢…!
いつも無駄な時に居るのに,何で肝心な時には居ないんだよ!
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