0人が本棚に入れています
本棚に追加
逢沢の姿が見えない。
何時まで経っても埒があかない。
「あ-あの...本当連れ待たせているので...」
「俺らじゃ不満?」
「そういう事じゃなくてですね...」
「まぁいいじゃん」
集団のリーダー的存在が,俺の肩に手を置く。
「触んなよっ!!」
振り払ってしまった。
「何すんだよ,折角誘ってやってんのに!
ふざけんなよこのアマ!!」
「女じゃねぇよ男だよ馬鹿!!」
アマってことは,女に勘違いされていたのか...
俺女顔じゃないのにな...
「ちょっと」
後ろの方から殺気を感じた。
振り返ると,逢沢がいた。
「逢沢!」
逢沢は集団に割り込んでリーダー的存在の男から俺を引き剥がし,
「悪いけど,此奴俺の彼女なんで」
「はぁ!?」
思わず声出してしまった。
すると小声で,「いいから合わせろ」と言われた。
「そ,そうだよ!!デート中だから邪魔すんなよ!!」
合わせたのはいいが,ホモじゃないかこれ。
「そ,そりゃ悪かったな..楽しめよデート」
一気に集団が去っていった。
「春輝,大丈夫だったかい?」
「だ,大丈夫だけどさ..怖かったんだぞ!!
逢沢なかなか来ねぇし,変な奴らに絡まれるし,
挙句の果てには女だと勘違いされてたんだぞ!!」
「春輝は比較的女顔だから仕方無いよ」
「仕方無い事無い!!」
逢沢が居なかったら間違いなく連れ込まれていた。
だから,感謝しなきゃ。
「ありがとう」
「どう致しまして,俺に惚れちゃった?」
「それはない!!」
「ないんだ」
「当たり前だろ!!さっきの何なんだよ!!
デート中だからとかなに!?俺等ホモじゃん完全にホモじゃん。
腐女子ホイホイじゃん!!」
「いいじゃないか,そうでも言わないと彼らは引き下がらないよ」
「そうだけど,もう少し言い方ないの?」
「ないね,思いつかなかった」
「考える気もないくせに」
「それを言われたらおしまいだね」
「認めるんだ,逢沢」
「潔く認めることも大切だからね」
「うん,大切だね。でもデートではないよこれ。
俺はお出かけ感覚だからね!?」
「いや,デートだよ」
何言ってんの,逢沢。
こうして俺はヒーローに助けられたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!