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仕事が終わり更衣室に戻ると、さっきの榊さんの話で持ちきり。
勿論、その中心にいるのは・・・・・・
「で、榊さんなんて言ったの?琴ちゃん」
「あのね、『うまくいっても俺のせいです』って!!」
そう琴ちゃんが言うと「きゃー」と上がる黄色い声。
「あのセクハラ部長にそこまで言えるなんて最高ね!」
「あーあたしもその場面見たかった~」
「でも、そんなこと言っても大丈夫なの?あの部長、結構陰険だし」
その台詞にあたしの心臓はドクンッと音を立てた。
そうよ、だってこのままで済むはずがない。
きっと、左遷とか降格とか・・・・・・
あの部長ならやりかねない、かも――?
そんな考えに背筋をゾクリとさせ顔を上げると、みんなの中心で琴ちゃんはニコリと笑う。
「大丈夫だって。『東栄物産』の常務とはかなり仲イイみたい。噂ではその娘さんとつき合ってるんだって」
「あぁ、だから強気に出られるのね」
そんなうわさ話にあたしも思わず「あぁ」って声を漏らしちゃった。
部長の話からしても『東栄物産』との取引はすごく大切みたいだったし。
でも、やっぱり心配は心配で・・・・・・。
「と、言うわけでコンパ行こうか?奈々美!」
いきなり目の前にニカッと笑顔で現れた琴ちゃん。
「な、なんで?!」
そう言って後ずさるあたしの腕を琴ちゃんはグッと握って。
「だって、榊さんにお礼言わないと。奈々美を庇って言ってくれたんだよ?」
それはごもっともな意見なんだけど、
それと今日のコンパと一体何の関係が・・・・・・?
目を丸くするあたしにやっぱり琴ちゃんはニッコリ笑う。
「今日のコンパは『海外促進部』となんで~す」
琴ちゃん、
あなたの笑顔は素敵なんだけど・・・・・・、
後ろの視線が痛いんだって――。
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