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「最低な男だな。まぁ、そのおかげで――」
俺が奈々美の『初めて』になれる。
耳元で囁かれる声にあたしの心臓がドクンと波打った。
「――で、でもっ、『ごめん』って」
言ったじゃない?
あれは?
見つめるあたしの前で榊さんがクスリと笑う。
「だって、『初めて』なのにこんな場所じゃ嫌だろ?」
「・・・・・・えっ?」
「奈々美の『初めて』なんだからもっと『特別』なものにしないとな」
「・・・・・・『特別』?」
繰り返すあたしに榊さんが「そう」と優しい顔で頷いた。
「奈々美が絶対に忘れられない『特別な夜』にしよう」
「――よ、夜って!」
一気に上昇していく体温。
頭の中は沸騰しそうで――
そんなあたしに榊さんはクスリと笑って
「俺は昼でもいいけど?」
なんていうから「もうっ!」と見上げると、
榊さんは赤い頬にキスしてくれた。
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