高嶺の花は咲いてるか?

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あたしは第一応接室の前で荒い息を少し整えて、震える手をギュッと握った。 それから恐る恐るドアをノック――。 「どうぞ」 聞こえてくるのは勿論、彼の声。 震える手でドアノブに手をかけてその重苦しいドアを開けた。 部屋の中では彼一人、会議室の長いテーブルに腰掛けてた。 後ろから少し傾いた日が入って陰になった彼の表情は全然分からない。 後藤部長やほかの人がいなくてホッとする反面、彼の顔を見るのが怖くてあたしはドアの閉まる音を聞くとすぐさま頭を下げた。 「――すみませんでしたっ」 ほかに言葉なんて見つからない。 どんなにあたしが頭を下げてもどうにもならないことだと知ってるけど、ほかに出来ることもないから――。 「・・・・・・なにが?」 「だ、だから、さっきの・・・・・・、高橋常務が『残念だ』って・・・・・・、そのあたしのせいで」 もう、何をどういっていいのか分からないけど頭を下げたままなんとかそう言うと彼が机から降り、近づいてくる足音が応接室に響いた。 「あぁ、あの話ね。そうだね、それに関しては君のせいかな」 見える床に彼の革靴が止まる。 やっぱりうまく行かなかったんだ。 後藤部長だってこれは会社にとって大きな提携話だって言ったのに! 「責任、取ってくれる?」 「――っ!」 責任、って――?
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