1662人が本棚に入れています
本棚に追加
「好きなんだ」
誰が?
誰を?
そんなの・・・・・・
あたしの耳がおかしいの?
「――うそ」
思わずそう呟いたあたしに彼はさらに困ったような表情を見せた。
だって、うそだよ。
そう、だって、
『俺が落とす――』
これは・・・・・、
「そんなに賭けに勝ちたい?」
そう言った瞬間、あたしの頬にあった手が震えて、
彼の顔が強張るのが分かった。
ほら、
そう言うことなんだよ。
「何を言って――」
「聞いたんだからっ、あたしを落とせるか賭けてるんでしょ?!こんなのっ――」
その言葉が一瞬でも『うれしい』と思ってしまったあたしは、
なんて馬鹿なんだろう?
こんなやつに惹かれてるなんて、
いまだに、
好きだなんて・・・・・・。
最初のコメントを投稿しよう!