2242人が本棚に入れています
本棚に追加
「これ以上は本当に狼になりそうだから」
なんていわれて、榊さんの車に乗ってあたしは今マンションの前。
「あの、ありがとう――」
「とりあえず、明日は?」
「えっ?」
驚くあたしに、榊さんは少し呆れるような笑みを見せた。
「予定がないならデートに誘いたいんだけど」
「・・・・・・ない、けど」
何とかそう答えると彼はふわりとあの甘たるい笑顔を。
「じゃ、明日の朝迎えに来るから」
そう言ってさりげなくあたしの頬にキスをする。
それだけでドキドキしちゃうのに――。
「降りないの?そんな顔されると、ここで襲っちゃいそうなんだけど」
「――おっ、降りますっ!!」
慌ててドアを開けるあたしに、やっぱり榊さんは笑ってた。
「おやすみ、奈々美」
「・・・・・・おやすみ、なさい」
なんとかそう言うと、榊さんはいつもの笑顔を見せて車を走らせて行った。
最初のコメントを投稿しよう!