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そう言うことなんだ。
誰よりも彼の事が知りたい。
些細な事だって、自分が一番じゃないと安心できない。
『ミサキ』さんはあたしよりも拓海に近い。
それは仕事上、仕方の無いことなんだけど。
愚痴だってなんだっていい。
彼女に言えるならあたしにだって言って欲しい。
『欲しい』ものばかり増えてくる。
楽しいはずの恋愛が、
苦しいものに変わってく。
その重苦しさに思わずため息が零れるほど。
「電話、すれば?」
「えっ?」
隣から聞こえる加代の台詞は思いもしないもので――、
「あたしから聞いたって言えばいいじゃない?」
「・・・・・・なに、を?」
「『出張、行くんだってね?どこに行くの?お土産よろしくね?』って」
「・・・・・・」
「『仕事、忙しい?どんなことしてるの?』とか。話なんていくらでもあるでしょ?聞きたいことも一杯あるんじゃない?」
・・・・・・加代はエスパーなのかもしれない。
そんなことを考えてるあたしに加代は、
「馬鹿ね」
と笑って立ち上がった。
うん、
やっぱりあたしの心は読まれてるらしい。
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