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どういう、意味?
困惑するあたしに拓海は何をどう解釈したのか、
「参ったな」
なんて呟いて、綺麗に整えた前髪をクシャリとかき上げた。
その表情は本当に『困った』って感じで・・・・・・。
「とにかく、気にしなくていいから」
「――ちょ、ちょっと待って!
一体、何の話?」
「えっ?」
今度、驚いたのは拓海のほう。
いや、だって全然分からない。
「・・・・・・違う、のか?」
「だから、何が?」
そう聞き返すと拓海は右手で自分の口元を押さえて・・・・・・、
「そうか」
ってため息混じりに声を漏らした。
そして、
「あ、俺だ」
都合よく鳴り始めたのは拓海の携帯。
それは個人用のじゃ無くて会社で貸与されてるもので、
「何でも無いならいいんだ。また電話するから」
そう言って携帯を片手に歩き始めた。
あたしは一人、残されて――
「・・・・・・全然、意味がわからないんですけど?」
しばらく、呆然とその場に立ち尽くしてた。
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