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「・・・・・・」
「・・・・・・」
変な沈黙。
でも、何を話せばいいのかわからなくて――
「あ、あの、明日から出張なんだよね?早く帰って」
「今、出れる?」
「でっ?」
この電話を切ろうとしてたあたしの耳に届いた台詞は予想外過ぎて、あたしは間抜けな声を発してしまった。
ってか、『出る』?
どこに!?
「晩飯、つき合って」
「はっ?いやっ、でもあたし食べちゃったしっ」
「奈々美はコーヒーでも飲んでてくれたらいいから・・・・・・
って、コーヒーは飲めないか」
そう言って笑う拓海の声が聞こえる。
「一旦帰って車で迎えに行くから」
「で、でもっ」
「じゃ、着いたらまた電話する」
「待っ――」
待って。
そう言いかけたあたしの耳には『ツー』と言う電子音。
「・・・・・・嘘」
今から拓海が会いに来る。
すごく嬉しいのに・・・・・・、
「どう、しよ」
どういう態度でいればいいのか分からない。
聞きたい言葉は全部、拓海の口から聞けた。
なのにすっきりしないのはどうして何だろう?
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