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「何考えてた?」
「――えっ?あ、別に」
「言って」
あたしの心臓がドクンと音を立てる。
あと数センチ。
すぐにでもキスの出来そうな距離。
だけど、肩が震えたのはその距離ではなくて、
すぐ近くで聞こえる低い声。
「あ、あのっ、ご飯、は?」
「そんなのはただの口実。ああでも言わないと出てこないでしょ」
「・・・・・・」
こんなとき、あたしは彼の手のひらの上なんだと思い知らされる。
「奈々美」
だって簡単に白旗を揚げてしまう。
「――に、日曜日」
「日曜?」
オウム返しで返ってくる声にあたしは小さく頷いた。
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