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「なんか嬉しいな」
「えっ?」
思いがけない言葉に声を上げると拓海の笑顔が少し意味ありげに歪む。
「妬いてくれたんだ?」
「――そっ、そんなんじゃ」
「違うの?」
「・・・・・・」
そう、なんだけど。
素直に頷けない自分の性格が恨めしい。
「前にも言ったけど三崎は上海で一緒に仕事した仲間。松岡もね」
「・・・・・・うん」
聞いた。
それを疑ってる訳じゃない。
「ってか、実は高校のときの同級生だったりする」
「えっ?同級・・・?」
一瞬、言われた意味がわからなくてあたしがその言葉を繰り返すと、拓海は「うん、そう」と頷いた。
「もっというと、三崎と付き合ってたのは俺の兄貴」
「はい?」
頭がこんがらがってくる。
同級生でお兄さんの元カノ?
「仕事が一緒になったのは偶然。あいつらが上海に出向になって――」
お互い知り合いだったということもあって、3人に任された仕事は見事成功。
だから今回も3人が組むことになって・・・・・・
「日曜日、成田まで迎えに行ったんだよ。会社に資料やら運びたいけどあいつらにはまだ社員証がなくてね」
で、その会社に行く途中、あたしは目撃したみたい。
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