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今日は早番だったからもうすぐあたしの勤務時間は終わる。
そんな時間に、
「ちょっといいですか?」
「いらっしゃいませ、どういったことでしょう?」
現れたのはグレーのスーツを着た長身の男性。
センスのいいネクタイに上品なひも靴。
にっこり笑う人懐っこい笑顔から多分営業なんだろうなってなんとなく感じた。
「えっと、榊のいる海外部って何階だっけ?」
「はっ?榊、ですか?」
いきなり飛び出す名前にドキッとしてしまう。
ううん、
何より呼び捨て?
いくら取引先って言っても――
驚くあたしと琴ちゃんに彼は「あぁ、そっか」と思い出したように声をあげて。
「大丈夫、あいつにはちゃんとアポとってるから!えっと『三崎』の名前で」
「あ――」
『ミサキ』?
『ミサキ』って言ったよね?
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